瀬戸内市は「日本刀文化の守り手」として国宝・山鳥毛の里帰りを実現します
日本刀文化の発信地である岡山県瀬戸内市は、
国宝の備前刀「山鳥毛(やまとりげ、通称:さんちょうもう)」を生まれ故郷である
「備前長船」の地に里帰りさせるためのプロジェクトを開始しました。
瀬戸内市長船町(おさふねちょう)を中心とした地域は、
歴史的にみて日本刀生産量で圧倒的な日本一を誇り、
また、国宝や重要文化財に指定されている日本刀の約半数を産出する「日本刀の聖地」として知られています。
ここで生み出された「備前刀」は、
かつて織田信長、徳川家康、西郷隆盛や明治天皇も所有するなど日本刀の最高級ブランドです。
現在でも、刀鍛冶となるための文化庁主催「美術刀剣刀匠技術保存研修会」(国家試験)は
瀬戸内市の備前長船刀剣博物館のみで実施されています。
また、この刀剣博物館では伝統技術を継承するだけではなく、
現代文化である戦国BASARAやエヴァンゲリオンといったアニメ、ゲームとコラボレーションするなど、
より幅広い人々に日本刀の魅力を伝えるべく新しいチャレンジも行っています。
このように、日本で最も刀文化の守り手としてふさわしいのが瀬戸内市なのです。
国宝「山鳥毛」とは?
「山鳥毛」は戦国武将・上杉謙信の愛刀で、その価値は5億円にも上ります。
文化財登録名は「太刀 無銘一文字(山鳥毛)」。昭和27年3月29日に国宝に指定されました。
刃長が79.5㎝、反りが3.4㎝、重さが1.06㎏。
作風から鎌倉時代中期に福岡地区(現在の瀬戸内市長船町)でつくられた福岡一文字派の作と考えられています。
「山鳥毛」の号の由来は、その変化にとんだ激しい刃文が、
「山鳥の羽毛のようだから」とも「山野が燃えるようだから」とも言われています。
拵(こしらえ)は室町時代末期の作で鍔(つば)がなく、この拵を併せて国宝に認定されています。
岡山文庫の『備前刀』には
「その造形・伝来共に、備前刀の最高峰と呼ぶにふさわしい」と書かれています。
瀬戸内市は日本刀の素晴らしさを未来に伝えます!
「山鳥毛」の里帰りを実現することで、
瀬戸内市は備前長船でのより質の高い刀鍛冶の育成を通じ、
日本刀づくりの伝統技術を継承するとともに、
備前長船刀剣博物館での刀匠体験や山鳥毛を含む刀の展示、
刀と武士、日本の歴史など日本刀文化を知る機会を国内外に提供します。
また、優れた刀をこれからも制作できるよう刀剣技術の研究、美しい日本刀を後世に残す保存研究、
備前長船の刀文化の歴史的な研究などを通じ、刀剣界全体の底上げの役割を担ってまいります。
これは、日本の匠の伝統を後世に継続発展させるという大きな社会的意義を持っていると確信しています。
岡山県瀬戸内市について
瀬戸内市は、総面積125.45平方キロメートルで岡山県の東南部に位置し西は岡山市、北は備前市と接しています。
市の西端を南北に一級河川吉井川が流れ、中央部には千町川との間に千町平野が広がり、東南部は瀬戸内海に面した丘陵地と、長島、前島などの島々からなっています。